初見健一のweb site * 東京レトロスペクティブ | ||
僕が生まれて初めて好きになった「アーティスト」は、たぶんフィンガー5だったと思います。 当時、フィンガー5はキャーキャーと歓声をあげるお姉さんたちだけでなく、小さな子供たちにも大人気でした。自分たちとさして年の変わらない子供(ブレイク時、アキラ君は12歳、タエコちゃんは11歳)がグループのフロントマンとして大活躍している、というところに、園児及び小学生はある種のスリルを感じていたのだと思います。 さらに、まだ未体験の「学園生活」なるものへの憧れを掻き立てる歌詞。 つまり、「『イケナイ人ね』と言って、いつもこの頭をなでる」セクシーな先生に密かに憧れたり、「このクラスで一番の美人の隣」の席を番長やガリ勉と競ったり、「今度のゲームで勝ったらくちづけあげる」と「あの娘」と約束して「吹き抜けてゆく熱い風」にタッチダウンを決めたり、「明日は卒業式だから」と「指のふるえをおさえつつ」「君のテレフォンナンバー」をまわして「ハロー! ダーリン!」とささやかれたり…… 70年代のアメリカ産青春ドラマにしかないような場面の数々を、つまりは「どこにもない学園生活」を、「幼児」である僕たちは漠然と信じることができたのだと思います。 で、現在。 それに、やっぱりサウンドがアグレッシブ。今の耳で聴くと、当時は知るよしもなかった彼らの戦略とセンスがビシビシ伝わってくる。 繊細かつ大胆なネタ元のセレクト、国内のシーンを考慮しない、あまりにコアなサウンドとアレンジ、どこか遠い国の日常を歌う夢見がちでコミカルな歌詞、それでいてマニア向けのものにならず、ちゃんとポップ、ちゃんとキュート、で、ちゃんと売れた。 |
|
初見健一のweb site * 東京レトロスペクティブ | ||