初見健一のweb site * 東京レトロスペクティブ



ジョージ秋山『ガイコツくん』

 「そこはかと ない殺伐感」








 これ、あんまり共感いただけないネタだとは思うんですけ ど、個人的に非常に懐かしいマンガ作品なのでアップしておきます。

 朝日ソノラマの「サンコミックス」シリーズから刊行されたジョージ秋山先生の『ガイコツくん』。出版年は1978年。初出は1965年の『別冊少年マガ ジン』で、66年に若木書房から最初の単行本が出たようです。

 ジョージ秋山といえば、『銭ゲバ』とか『アシュラ』みたいな70年代の暗部をえぐったエグすぎる作品、あるいは『はぐれ雲』のような奇妙なタッチのハイ ティーン向け作品で有名ですが、『ガイコツくん』は秋山作品のなかでは『パットマンX』などに連なる子ども向けギャグマンガです。しかも『ドラえもん』な どに代表される「非日常居候キャラ」を主人公にした日常ギャグマンガ。秋山氏の資質からするとちょっと異色な作品なんですね。ですが、これが氏の処女作な のだそうです。

 僕はほかの秋山作品にはまったくウトいんですが、小学校の低学年のときに友人のスズキくんから教えてもらって「サンコミックス」版の『ガイコツくん』を 読み、なんだかジワジワくるおもしろさに魅了されました。大人になってから「アシュラ」などを追体験して、そのあまりのヤバさに震撼しましたが、それでも 僕にとっての秋山作品といえば『ガイコツくん』なんです。今ではほとんど語られない作品ですが……

 主人公の「ガイコツくん」は文字通りガイコツで、キャラとしてのオリジナルなデザインはいっさいなし。正々堂々と「ただのガイコツ」です。これが「のび 太」役にあたる「カン坊」のところに突然居候にやってくるわけですが、実は「ガイコツくん」、5年前に亡くなった「カン坊」のおじいちゃんなんですね。な んか、この設定がちょっと子どもにはノリにくいというか、主人公が「おじいちゃん」で、しかもモロに幽霊ってのは、藤子先生なら絶対にやらない荒っぽさ (笑)。
 で、この「ガイコツくん」は「カン坊」の役に立とうとアレコレと奮闘努力するんですけど、残念ながら常軌を逸したマヌケで、ことごとく失敗ばかり。「カ ン坊」からも、そのパパからも(なぜかママはいない。これも秋山先生ぽさ?)疎まれ、容赦なく迫害され続けます。いわば後の『がんばれ!!ロボコン』的な 展開なんですが、失敗ばかりの「ロボコン」や「オバQ」も、一応は居候先の子どもたちとの間に友情を成立させ得ますが、「ガイコツくん」はいっさいそうい うハートウォーミングなことが起こらない。ほぼ最後までジャマ者扱いで、その「ガイコツくん」自身もかなりエゴイスティックで性格が悪い(笑)。このドラ イな感じは、ちょっと赤塚先生に似てるといえば似てるのかなぁ?

 僕は小学校低学年までマンガはほぼ『ドラえもん』一筋だったので、『ガイコツくん』の殺伐とした感じはけっこう衝撃で、最初はかなり違和感がありました が、同時にオトナっぽさというか、ハードボイルド(?)なタッチに魅力を感じました。思えば、僕は『ガイコツくん』によって『小学○年生』みたいなソフト な学習雑誌掲載のマンガと、『少年マガジン』のような一般の少年マンガとの差異を初めて実感したんだと思います。

 で、この『ガイコツくん』については、僕にとっては非常に重大な記憶の「混線」があります。こちらに記しましたので、70年代のマンガに詳しい方、この 「謎」を解決していただけませんでしょうか?


(2011.11.5)


1978年版『ガイコツくん』。サンコミックスのロゴマークも懐かしい!
 「朝日ソノラマ」って、なんだかワクワクするような社名でしたよね。



なんともナマナマしい展開…。死因となった病名まで言わなくていいんじゃない の?



昭和のギャグマンガには定番のシーン。こういう人を「ホームレス」と呼ぶように なってからは、
ギャグとし扱うことはタブーになっちゃいましたよね。



ほとんどのエピソードが、こういう物悲しい感じで終了します


初見健一のweb site * 東京レトロスペクティブ



アクセス解析

inserted by FC2 system