自分が初めて、ちゃんと商品名などを意識したうえで口にしたお菓子ってなにかなぁ? なんてことをときどき考えます。親に与えられたんじゃなくて、自分のおこずかいで買ったり、商品を指定したうえで親にねだったりして、あくまで「主体的」に食べたお菓子。
僕の場合、明治製菓の「かなぼうくん」かなぁ……? 発売は1971年。今もかすかに残っている食感や味は、4歳の記憶ってことになる。
その名の通り、絵本に出てくるオニが持っている「金棒」そっくりのお菓子でした。
香ばしいスティック型ビスケットに、荒く砕いたナッツをミックスしたチョコがコーティングされていて、表面のワイルドなデコボコ感が特徴。無造作にかぶりつくと、上あごの内側にデコボコがぶつかって痛かった記憶がある。でも、とってもおいしかったし、ボリュームもあって、楽しいお菓子だった。
「かなぼうくん」について思いをめぐらすと、公園前のタバコ屋さんで買って、すぐに開封して、家に帰るまでの短い道のりをひとりトボトボと歩きながらボリボリかじっている……という場面がいつも浮かびあがってくる。
なんとなく、妙に印象的な、そこはかとなくサミシイ感じのする記憶。別に4歳の自分がさみしかったというわけじゃなくて、そのときの僕は無心に「かなぼうくん」をかじりつつ、「おいしいなぁ」なんて思っていたんだろうけど、「無心な幼児」って、オトナから眺めると、なんか漠然とサミシイ印象を与えるような気がする。
(2009.12.3) |