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*関連トピック:キッスvsベイ・シティ・ローラーズ その2 |
ずっと前に、なにかの雑誌のインタビューでcorneliusこと小山田圭吾くんが情けなさそうに言ってました。 「僕、生まれて初めて買ったアルバムってキッスの『LOVE GUN』なんですよぉ〜」 うわっ、さすが同世代。僕もまったく同じです。 僕の場合、初めて買ったシングルがフィンガー5なんですが、これはむしろ少しも恥ずかしくない。なんだったら自分を少しホメてあげたいんです、「その選択眼、よし!」と。が、初めて買ったアルバムがキッスってのはキツイです。死ぬまで秘密にしておきたい。 キッスが流行したのは僕が小1のときから小4くらいまでかな? 初めて意識的に聴いた洋楽、というかロックのひとつ。 僕は小1ではじめて両バンドの音を耳にしたんですが、直感的に「ベイシティローラーズ、カッコイイーッ! キッス、ダッサーッ!」と思ったわけです。これはもちろんルックスも含めて。 が! ウチの小学校の状況下では、「ボク、ベイシティローラーズの方がイイと思うナ」なんてことは口が裂けても
言えなかった。「ローラーズなんてオンナ・コドモが聴くもんだっ!」みたいな風潮が男子のなかにあり(自分たちも充分にコドモなんですけど)、ローラーズ
派を宣言することは「スカートを履きたい!」と言うのとのと同じくらいに「倒錯」的行為とされました。 子どもってマジメですからね、友だちをテキトーにあしらっておいて、家ではこっそりローラーズを聴けばいいよう なものの、そういうのがダメなんですね。「この音に慣れなきゃ」みたいな悲壮な気持ちで、ガマンしてキッスのレコードを部屋で聴き続けたりしたわけです。 いやぁ、ホント、これはツライ経験でした。まさに苦行。 それから約30年、90年代後半にキッスは若者たちの間でプチ・リバイバルしました。それ自体、一種のギャグ
というか、ダサさをキッチュに変換した上でのオシャレアイテム化というか、オモチャ化というか。corneliusがメタルで遊んだ影響も大きいし、ソ
フィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」にジャケがチラッと出てきたのも印象的で、むしろガーリーな形で消費された……。 にしても、おもしろいのは70年代の日本の「洋楽地図」のメチャメチャさ加減。
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