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ライトセイバー

「進歩しない科学」




 「ライトセーバー」とは、映画『スターウォーズ』に登場する武器のことです。ふりまわすたびにブゥ〜ンと独特の音をたてる「光の剣」ですね。これについて、ずーっと前から思っていることがあるんです。

 これ、1977年の映画公開時から何度もオモチャ化されています。子ども時代からあんまり興味がないので詳しくは知らないんですけど、当時、かなりの人気商品で、町のオモチャ屋やデパートの玩具売場で山積みになっているのをよく見かけました。

 それから30数年経過したわけです。
 玩具の世界はガラリと変わりましたよね。1977年の子どもがタイムマシンで現代にやってきてリアルタイムのオモチャ市場を見まわしたら、これはもうか なり驚くと思うんですよ。実写と見まがう3D映像がグリグリ動く各種ゲーム類。「チョロQ」「トミカ」大の極小ラジコン。そうそう、ラジコンといえば、昔 は「金持ちのオトナの道楽」だったヘリコプターのラジコンだって、部屋で飛ばせるミニサイズなどが手軽に買えちゃうんですから。古典的なイヌやネコの電動 ぬいぐるみ類だって、各種のセンサーが搭載されて、ほとんどロボット化しています。どれもこれも、70年代っ子にしてみたら「『ドラえもん』のポケットか ら出てきたモノ」に見えるはずです。腐っても21世紀、ってエバレるくらいの進化はしているわけです、多くのオモチャは。

 なのにですよ、なんで「ライトセーバー」玩具はちっとも進化しないんでしょうか?
 ビックリすることに、いまだにあれですよ、あの交通整理のオジサンが持っている赤いビニールの棒、あれと構造的にはまったく変わってないんですよ。透明な棒に電球その他の発光体をしこむ、という相変わらずの構造なんですよ。

 いや、今のは棒をシュルシュルと折りたたんでグリップに格納することができるんだ……って、それは70年代からあったよっ!
 いや、最新のモデルは、ふりまわすとブゥ〜ンと映画そっくりの音が出るんだ……って、それも70年代からあったのっ!

 実際、確かに細かい進化はいろいろあるらしいんですよね。発光体がLEDになったりとか、サウンドがよりリアル になったとか。グリップ部分の造形に凝ったマニア向けの高価なモデルが登場したりとか。でも、それってぜんぜん根本的な進化じゃないですよね。単にディ テールにこだわりました、ってだけで。

 僕が言いたいのはですね、「そろそろ本物つくれよ!」ということなんです。「できるだろ、そのぐらい!」と。
 だって、なんか、今の科学ならやれそうじゃないですか? 光を一定の長さに照射すればいいわけでしょ? なんとかなりそうじゃないですか。ダメなんですかね? むずかしいんですかね? できそうって思うの、僕が極端な理系オンチだからなんでしょうか?

 あ、でもあれか、ちょっと前に発売されたオトナ向けのバカ高い「仮面ライダー変身ベルト」をつけても、実際には 変身できないってのと同じだから、やっぱりしょうがないのか……。いやいや、違う。変身できる「変身ベルト」ができそうにない、ってのは僕にもわかるけ ど、「光の剣」は本当にできそうだもん、やっぱり。

(2010.2.1)



僕ら世代にとって、『スターウォーズ』といえばこのポスター。まだまだSF映画は子どものモノって感じの時代で、公開時は「東映マンガまつり」的なノリもありましたよね。



だって、ほら、なんかできそじゃね?



現在、ライトセイバーtoyの最先端が、このマスターレプリカ社のFXシリーズとされています。perfumeがライブで「GAME」を演るときに携えているのも、このシリーズらしい。だけどやっぱり、基本的には「ガードマンの棒」です。


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