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70年代初頭からなかばにかけてのことだと思います。原宿の大型玩具店キディランド(だったと思うけど、渋谷のデパートだったかも)に親と出かけ、「ケムケム」という名のぬいぐるみを発見しました。当時、新発売の製品だったらしく、売り場の中央に丸い専用台が設置され、そこに「ケムケム」と称する変なモノが山積みになっていました。 「ケムケム」は架空の動物をデザインしたもののようで、体中を長い毛でおおわれた小さなモンスターのようなキャラクター。手足はなく、毛のなかにうまったような形で目玉とイヌっぽい鼻がついていました(いや、鼻があったかどうかは自信ないな)。要するに、ハンドボール大の「毛玉」みたいなもので、デザインはいたってシンプル。 5種類くらいのカラーがラインナップされていたように思いますが、僕は母親にねだってオレンジ色の「ケムケム」を買ってもらいました。第一印象は単に「変なの!」だったのですが、遊んでいるうちに大好きになり、幼児時代に与えられたぬいぐるみのなかではもっともお気に入りのものになりました。もちろん、いつのまにかどかへいってしまって、今は手元にないんですけど。 大人になってからも、ときどき「あれって、なんだったんだろう?」と「ケムケム」のことを思い出します。で、同世代の人に「『ケムケム』っていうオモチャ、知ってる?」と何度となくたずねているんですが、「知ってる」という人に出会ったことがいまだにありません。 先日、独力で調査してみたところ、このキャラは大和和紀さんが1974年ごろに「別冊少女フレンド」に連載していた『おいらケムケム』というマンガの主人公であることがわかりました。玩具メーカーのオリジナルキャラだとずーっと思い込んでいたのでビックリですが、それ以上に、子ども時代の僕が唯一ハマった少女マンガ『はいからさんが通る』の作者・大和和紀さんが生みの親だってことを今さらながら知って、驚愕しました。やっぱり、僕はこの人のつくったものに反応しちゃう性質を持っているようです。 調査もここまでで、やはりあのぬいぐるみの情報にはたどりつけません。原作の『おいらケムケム』を知っている人も、ぬいぐるみ化されていたことは知らないと言います。 |
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KYさんから情報をいただきました/2009.12.24
原宿にある「SPIRAL」というビンテージトイショップのショッピングサイトで発見してくださったとのこと。ショップのサイトには詳細なデータも正式商品名も表記されていないんですが、これ、まさしく大和和紀の「ケムケム」です! 鼻や足の形、特に目の周りのデザインなど、まさに「ケムケム」。 |
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新たな情報が発覚しました…/2010.1.30 上の新情報紹介記事で写真を掲載したあの物件、どうやら「ケムケム」とは無関係のようです……っていうトホホな事実が発覚してしまいました。 上記の写真の商品は1967年に発売され、かなりのヒット商品になった英国製の「グルック(GLOOK)」というものだそうです。国内ではバンダイが発売していたようで、女の子が部屋に飾る定番のファンシードールだったとのこと……。 「まさしくケムケムです!」なんて僕は断言してしまいましたが、完全なカラぶり。しゅみましぇん。 それにしても、目や鼻の細部まで「ケムケム」そっくり。もしかしたら大和女史は、70年代初頭に「誰もが知っているちょっと懐かしいオモチャ」となっていた「グルック」をモデルに、「こういうの、あったよね」という感じで「ケムケム」を生みだしたのかも知れませんね。 |
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