初見健一のweb site * 東京レトロスペクティブ



 

マルシンフーズ 「マルシンハンバーグ」

「カリカリ感が命」





 子ども時代、夕方の5時半、および6時の再放送アニメを見 ていると、もう「これでもかっ!」っていう感じで「マルシンハンバーグ」のCMが流れまくっていました。あの「マールシン、マールシン、ハンバーグ!」っ ていうジングル、いまだに頭のなかで鳴ってます。

 いろいろなバージョンのCMがありましたが、一番印象的 だったのが、外袋を贈ると「キグレ大サーカス」(いや、ボリショイだっけ?)の招待状が当たる!っていうキャンペーン。銀色スパンコールのレオタードを着 たなまめかしいお姉さんが、華麗に空中ブランコを乗りこなすVTRが映しだされていました。

 我が家では、母親の方針で「なるべくインスタント食品・加 工食品は使用しない」みたいな鉄則があったので、「マルシンハンバーグ」はなかなか食べられなかったんです。親が忙しい土曜日のお昼などに、たまぁーに口 にできるくらい。で、普段は食べられないもの珍しさも手伝って、もっのすごくおいしく感じました。手作りのハンバーグとはまた違ったお菓子っぽさという か、スナックぽさがあって、ハンバーグというより「マルシンハンバーグ」という固有の料理、という感じ。

 「マルシンハンバーグ」は、都内でもエリアによって普及率 にかなりの差があるようです。以前に住んでいた新宿区や豊島区ではほとんど見かけることがなかったんですが、現在住んでいる大田区の東横線沿線付近は「マ ルシンハンバーグ」浸透地域のようで、どのスーパーでも購入可能。懐かしいので、つくってみました。



 「マルシンハンバーグ」の発売は1962年。
 当時、急速に日本の食は洋風化していましたが、それでも「ハンバーグ」という名称は普及しきってはいなかったそうです。新製品の「マルシンハンバーグ」 を問屋にもっていっても、「なにそれ? さつまあげ?」なんて言われてしまうことも多かったとか。日本の食宅への洋食・肉料理の定着に、「マルシンハン バーグ」はかなり貢献した商品なんです。

 70年代以降、「イシイのハンバーグ」などのレトルト商品 が登場し、その後はマルシンもレトルトを製造しはじめて、インスタントハンバーグの主流がレトルトに移行していきました。確かにパッケージごと熱湯で温め るレトルトは、焼くタイプに比べて、つくるのも後かたづけもぜんぜん楽。なのに、なぜ「マルシンハンバーグ」はロングセラー商品として生き残ったのか?  以前、マルシンに取材に行ったとき、聞いてみたことがありました。担当者いわく、「焼かないハンバーグなんておかしい。焼いてこそのハンバーグです」。

 だよなぁ、と思います。レトルトのハンバーグって、要は ソースまみれの煮込みハンバーグですよね。やっぱり、あのカリカリの焦げ目がないと。焼くタイプのインスタントハンバーグがいつの間にか希少になっちゃっ た現在、「マルシンハンバーグ」の「なくなるとすごく困る」感はさらに高まっているような気がします。

(2010.5.31)


昔 ながらのパッケージ。といっても、かつてはロウ紙のパッケージだったんですよね。現在はビニール製。でも、デザインが大胆に変更されていないのがウレシ イ。もちろん、キャラのミミちゃんも健在。ちなみに、ミミちゃんの髪の毛はサカナとブタのシッポを表しています。髪の毛のサカナは、かつては魚肉も使って いたことによるそうです。現在の材料は牛・ブタ・鶏で、サカナは使用されていません


中 身はこんな感じ。当時、画期的だったラードコーティング製法も昔のまま。ハンバーグ自体を油でコートし、油をひかなくても焼ける画期的製法。これがないと 「マルシン」じゃないんですよね。が、実は現行品にラードは使用されていないそうです。コレステロールを気にするユーザーが増えたため、使用する油もヘル シーなものに変更されたのだとか


こ んがり焦げ目をつけて、できあがり。特に専用ソースなどがついていないのも「マルシン」らしさで、家庭によってしょう油をかけたり、とんかつソースをかけ たり、ケチャップをかけたりします。我が家では基本、しょう油


初見健一のweb site * 東京レトロスペクティブ



アクセス解析

inserted by FC2 system