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メダル刻印機

「“記念”を買う」という感覚




 「メダル刻印機」。昭和の時代は「ここは観光地ですよ」ということの「証し」のようなアイテムでした。


 そのスポット専用のオリジナルメダルを自販機で購入、併設されている刻印機で自分の名前や今日の日付を刻印すれば、世界でただ一つの記念メダルのできあがり。家族旅行や修学旅行、遠足、社会科見学などなどで、人が集まるところにいけば必ず見かけることができたものです。


 昔からこれを一手に製造しているのが、大阪にある茶平工業。1966年ごろに販売を開始したそうです。

 僕ら世代になじみがあるのは、レジスターみたいなスタイルの背の低い自販機&巨大な電話のダイアルみたいなもの でガチャリと文字を入力する刻印機。どちらもボディはオレンジ色だった記憶があります。現行の自販機は通常のジュース自販機を小ぶりにしたようなもので、 刻印機も黒電話のダイアル方式からキーボード入力方式に変更されています。
 うれしいのは、昔からあるオプションパーツの販売が今も続けられていること。メダルをキーホルダーやペンダントにするための別売りパーツが、メダルと同じく自販機で購入できるんです。

 僕自身は、正直、子どものころに記念メダルを購入したことはほとんどありませんでした。あんまり魅力を感じなくて(笑)。
 記憶を思いおこしてみると、観光地で必ずペナントを購入する子、駅で記念スタンプを押したがる子、あと、なぜか切手を集めている子たちは、記念メダルにも感心を示す傾向が強かったような気がします。「記念」というものに敏感なのかも知れません。

 僕は上記のものすべてに関心がなく、観光地のみやげもの屋などではおもちゃっぽいものばかり物色していました。今考えると、ペナントやメダルも取りあえず買っとけよ、と幼児期の自分に文句を言いたいです。

 右にあげた写真は、3年ほど前、東京タワーで撮影した「メダル刻印機」。先程、販売元の茶平工業のHP「販売場所リスト」を確認したところ、なんと現在の東京タワーには「メダル刻印機」は設置されていない! どころか、都内の設置場所は10箇所に満たないんです。上野の博物館にも、上野動物園にさえ、もやは「メダル刻印機」はない!

 これは由々しき事態だと思います。だいたい、「メダル刻印機」のない観光地なんて観光地じゃない。「メダル刻印機」を置かない東京タワーに東京タワーを名乗る資格はない。スカイツリー完成の暁には、このあたりのことをよく考えていただければと思います。

 あと、都知事。「非実在青少年」がどーしたとかアホみたいなことに貴重な時間と税金を使うなら、「都内の観光地 への『メダル刻印機』設置義務条例」を早急に具体化していただきたいと思います。たぶん多くの人に「バカじゃねーの」と言われるでしょうが、「非実在青少 年」のときの「バカじゃねーの」よりもずっと愛のこもった「バカ」の称号がもらえることでしょう。
(2010.4.18)


*情報追加(2011.12.30)

…と、上記の文章で東京タワーから消えてしまったメダル刻印機について一通り嘆きましたが、このページをご覧になってくださった東京タワー関係者の方からメールをいただきました!

(中略)東京タワーは開業以来とは言えませんがかなり昔から今日まで、記念メダルは販売しています。
今後も継続されていくと思いますので、ご安心ください。(大展望台に2台設置され、大活躍中です)

ということで、茶平工業のリストにモレがあったようです。
あー、一安心。今後ともメダル刻印機が東京タワーの片隅でひっそりと活躍しつづけてくれることを願っております。情報をくださったKTさん、ありがとうございました!


東京タワーにあった「メダル刻印機」(2007年ごろ)。フロアのスミのほうにひっそりと設置されていました。


「思い出の記念品となります」という真正直なキャッチコピーがジェントル。左の2つのアイテムがペンダント&キーホルダー作成パーツ。


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