初見健一のweb site * 東京レトロスペクティブ



ミニレターセット

「“紙のおもちゃ”のカワイさ」





 すでに僕らがものごころついたときには、玩具のほとんどはプラスチック製になっていましたが、それでも「紙のおもちゃ」にも多少はお世話になっています。


 駄菓子屋などでは、おもちゃと呼べるかどうかはともかく、各種カード類は定番の人気商品でしたし、ほかにも切り抜いて組み立てる人形(なぜかお化けの人形が多く、夜光塗料が塗ってあって光ったりする)、今も売られる「ようかいけむり」(紙に塗ってある薬品を指につけて「不思議な煙」を発生させる)などなど、紙製玩具はおなじみの商品でした。



 が、もっともお世話になった紙製玩具は、なんといっても児童雑誌の付録。男子なら小学館の『小学○年生』など、女子なら少女マンガ雑誌系。
 『小学○年生』の付録は、僕的には正直、「ろくなもんがなかった」という記憶しかありません。厚紙を切り抜いてつくるロボットとか、とてもじゃないけど身につける気にはなれない特撮ヒーローの写真で埋め尽くされた紙製サンバイザーとか、ゴムで円盤を飛ばす紙製ピストルとか……。今になれば、「のりしろ」とか「割りピン」とか、付録の工作製作時にしか口にしなかった用語などは懐かしいんですけど、あんまりまともに完成させた記憶がない……というか、ハナからめんどくさがって、つくってみようともしなかったなぁ。



 これに対し、女の子向け雑誌の付録は充実していたような気がします。基本、メモ帳とかバッグとか、しっかりとした完成品が多かったし、ビニール製のサマーバッグなど、紙製じゃないゴージャスな付録もありましたよね。このあたり、現在の成人女性向けファッション誌のブランドタイアップ付録企画とかにも通じているような気がします。



 で、少女マンガ雑誌の付録のなかでも、昭和の定番といえば「ミニレターセット」! 「豪華!全8点オリジナルふろくつき!」などには必ず「ミニレターセット」が含まれていたと思います。いや、僕は実際に少女雑誌を買っていたわけではないので、チラ見による情報収集なんですけども。

 でも、小学生時代、教室のすみでクラスの女子がためにため込んだ「ミニレターセット」コレクションを友達と交換していたり、授業中に「ミニレター」をこっそりまわしたりしていたのを覚えています。ただでさえ「ミニレターセット」の便せんや封筒はイラストで飾られていてカワイイのに、そこにさらにマーカーやちっちゃなシールを駆使して、自分でデコレートするのが小学生女子魂。ハタで見ていても頭が下がるというか、「よくやるよなぁ、あいつら」という感じでした。


 今回、『まだある。』読者のSHさんが、おそらく70〜80年代初頭のものと思われる「ミニレターセット」を送ってくれました。どの雑誌の付録だったのかなどの詳細は不明なのですが、久しぶりに目にして、男子の僕もじんわり懐かしい気分になっちゃいました。こういうの、男子の記憶からはこぼれがちなんですよね。たまに目にすると、不意打ちのジャブを喰らったようなクラクラ感があるんです。



 しかもこれ、ノンキャラ商品なんですが、すっごくデキがイイ。本物のレターセットを忠実に縮小再現していて、渋いんですよね。ハデハデのデコラティブな「レターセット」も楽しいですけど、こういうリアルなものは「郵便ごっこ」をめちゃくちゃ盛り上げてくれそうです。


 SHさん、貴重なモノをありがとうございましたっ! あと、無断でココに掲載しちゃってゴメンなさいっ!


(2010.7.4)


セット内容は便箋、封筒、エアメール封筒、葉書、切手…。どれも実物の3分の1程度の大きさ。下記の写真でBOXYボールペンと大きさを比較してみて


渋い朝顔のイラストつき便箋。表紙のイラストが水森亜土っぽい


めちゃリアルな葉書と切手一式。郵便番号表示が5桁!


こちらもリアルな封筒。事務用っぽさが激シブ



初見健一のweb site * 東京レトロスペクティブ



アクセス解析

inserted by FC2 system