いつの間にか消えてしまった企業キャラクターのなかでも、いまだに「帰ってきてくれ〜ッ」と心から思ってしまうのが、東京電力の旧キャラ「ピカちゃん」です。
　頭のてっぺんに一本のツノを生やしたカミナリ坊や。髪の毛はカミナリ、鼻は＋、口は−。シンプルなデザインの本当にキュートなキャラでした。
　目鼻と口がピタッとくっついてる独特の表情が、なんともカワイイんですよねぇ……。

　登場は1964年。僕が生まれる前なんですね。ものごころがついたころには、町々の電信柱や送電用の鉄塔など、そこら中に「ピカちゃん」看板が貼られていました。「キケン！」とか「鉄塔にのぼってはいけません」とか、子どもたちに注意を促がすものがほとんど。
　テレビCMにも登場してましたよね。年末年始にはアニメの「ピカちゃん」が、「ボク、東京電力のピカちゃん！　凧あげは広い場所でやろうね」なんてことを言ってた。

　1980年代の後半あたりに、残念ながら「ピカちゃん」はお役御免になったようです。
　かわりに登場したのは内田春菊が描く「でんこちゃん」。ん〜、ま、「でんこちゃん」も悪くないけど、思いっきり記号化された単純な線で構成される「ピカちゃん」の方が、やっぱり子どもの記憶にはバチッと刻まれるような気がする。真似して絵を描くときも描きやすそうだし……。

　昔は「でんこちゃん」も年末年始に「電線のそばで凧あげしちゃダメ」っていうCMをやってましたよね。最近は目にしなくなった。そりゃそうだよね、「青空にいくつもの凧」っていうお正月らしい光景、本当に見なくなったもん。

　ちなみに、70年代にあれほど電力会社が凧あげに関する注意喚起CMを放映していたのは、それまで下火になっていた凧人気が、1974年、あることをきっかけに再燃したからなんだそうです。あることってのは、もちろん「ゲイラカイト」の日本上陸！　大ブームになって、あちこちで電線のトラブルが多発したらしい。そういや当時、あちこちで見かけたよね、電線からダラ〜とたれさがってるゲイラ。

（2010.1.5）