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子ども時代は、家でなにかをしているときに、遠く の方から「きゅう、きゅう、きゅう」という音が聞こえてくることがよくありました。「きゅう、きゅう、きゅう」のリズムは速くなったり、遅くなったりしな がら、だんだん大きくなって、そのうちに小さな子供とお母さんの会話が聞こえてきます。 あの「きゅう」はなんの音だろう? なんてことは考えませ んでした。考えるまでもなく、あれは「ぴよぴよサンダ ル」を履いた子供の足音。そんなことは誰でも知っていました。それほど「ぴよぴよサンダル」はポピュラーだったんです。僕ら世代の誰もが一度は履いたは ず、と言っても過言ではないと思います。もちろん、僕も履きました。あれを履いて、母親の手にひかれて、そこら中を「きゅう、きゅう、きゅう」と歩きま わったわけです。 商店街の靴屋さんの店先のワゴンには、かならず「ぴよぴよ サンダル」コーナーがありました。店の奥ではなく、たいてい入口の外。通りがけにサッと買えるような、お手軽かつ安価な「客引き商品」として定番だったん でしょう。 アニメ『サザエさん』のなかでは、「タラちゃん」「イクラ
ちゃん」の足音は「♪ピロリロリン」みたいな非現実的
な効果音で表現されます。「カツオ」や「ワカメ」の足音はちゃんとリアルなSEなのに、小さな子供である「タラちゃん」と「イクラちゃん」のみ、「♪ピロ
リロリン」。 今、街中で「きゅう、きゅう、きゅう」を聞くことはまずな
い。 なんともユーモラスでかわいらしい子供たちの足音が街から
消えたのも、「タラちゃん」と「イクラちゃん」の「♪ピロリロリン」が「不自然」に聞こえてしまうのも、「イライラしてる人」が増えたからだと思います。 今 も健在! がんばれピヨピヨ!
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地方の靴屋さん
には今もかろうじてピヨピヨ売り場があります
1979年のお子さまマンガサンダルの広告 |
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