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タカトク「パンチ ゲーム」

「○ジャラとか、○ポンとか」




 先日、ついに積年の謎が解けました。
 あんまり他人には共感されない「スッキリ感」だと思いますが、まぁ、おヒマなら駄話につき合ってください。

 70年代後半から80年代前半にかけて、子ども用麻雀っていうか、ファミリー麻雀的なゲームが流行りましたよね。お正月に親戚の子どもたちが集まっ て……なんてときに活躍するのは、だいたいこの種の麻雀風ゲーム、もしくは人生ゲーム、もしくは「黒ひげ危機一発」あたりでした。

 ファミコン登場以降は、「ゲーム」という言葉の意味内容が変質してしまうほどに状況が一変しましたが、現在でもバンダイの「ドンジャラ」は健在。子ども 用麻雀の代名詞になっています。
 拙著『まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ 玩具編』では、この「ドンジャラ」を紹介しているんですが、ちょっと本文の一部を引用しま す。

(省 略) 小学生時代、我が家では毎年の正月に家族+親戚の子どもたちで「ドンジャラ」を楽しんだ……と、ずっと思っていた。が、どうもそうではないらしい。 八〇年といえば僕はすでに中学生だし、家にあった「ドンジャラ」(っぽいモノ)に既成のキャラは採用されていなかった。トラさん、ゾウさん、ウサギさんな ど、動物の絵がコマに描かれていたのだ。調べてみると、子ども用麻雀は七〇年代後半からブームになり、「ポンジャン」(アノア)、「ジャンポン」(ハナヤ マ)、「ジャラポン」(エポック)など、まぎらわしい名称の商品が混在している。それらをチェックしてみたが、あの動物キャラは見あたらない。我が家に あったのは「なにポン」だったのか?

 そうなんです。僕はずっと「ウチにも『ドンジャラ』があった」と思い込んでいたんですが、「ドンジャラ」にはノンキャラクターの「動物」バージョンなん て存在しない。それに、「ドンジャラ」発売は1980年。ちょっと時代も合わない。
 であれば、ウチにあったのは「アノア、ア、ア、ア、ア〜!」っていうCMでおなじみだったアノアの「ポンジャン」か? 調べてみたけど、「ポンジャン」 のパイはクラシックカーや船や汽車など。CMで目にしてるので懐かしいんだけど、ウチにあったのとは明らかに違う。
 ならば老舗ハナヤマの「ジャンポン」? これもキャラもの中心で違うらしい。
 ではエポックの「ジャラポン」? いや、こちらもキャラもの……。

 仕方なく、「ジャラ」とか「ポン」とかを手がかりに、いろいろなメーカーの過去の資料を調べていったのですが、それらしいものは見つからずじまい。玩具 問屋の人に話を聞くと、とにかく80年前後は製品ラッシュで、大手からマイナーまで、同種のゲームが大量に発売されたそうで、「今から特定するのは難しい ですよぉ〜」とのこと。

 が! 先日、まったく別のことを調べているときに、偶然に判明してしまいました!
 ウチにあったのは「パンチゲーム」! メーカーはタカトク!
 「ドン」でも「ポン」でも「ジャラ」でもなく、「パンチゲーム」。連想不可能な商品名で、名称だけ聞いてもまったくピンときません。この種のものとして は最古の商品のひとつで、発売は1975年。これなら年代も合う。
 メーカーのタカトクは現在は存在しませんが、70年代は「生き残り頭脳ゲーム」「沈没作戦ゲーム」などで、「ファミリーゲームといえばタカトク!」とい う地位を堅持していた大手メーカーです。でも、これは盲点だったなぁ。なんか個人的にタカトク=「タイムボカン」のダイキャストモデルっていうイメージし かなかった。

 ひっさびさに再会した「パンチゲーム」のネコさん、サルさん、アヒルさん……。やっぱりモーレツに懐かしい。お正月や日曜日の夜の平和なガヤガヤを思い 出しちゃう。


(2010.1.17)



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こ れがご存知「ドンジャラ」(バンダイ)の現行版。『ドラえもん』のヤツね


これが「ポンジャン」(アノア)。箱右上にあるのが専用パイのデザイン。けっこうオトナっぽいシンプルな絵柄


で、 これが僕が持っていた「パンチゲーム」(タカトク)!


「パ ンチゲーム」という商品名を聞いても、「そんな名前だったっけ?」という感じなのに、ロゴを見ると即座に「これこれっ!」となっちゃう。不思議なもんだ、 人間の記憶って


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