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ここでいうラジコンブームとは、一般的には「第2次」になるのかな、70年代後半、スーパーカーブームに影響を受ける形で起こったブームです。 シーンをリードしたメーカーは、もちろん田宮模型。 僕のマイ・ファースト・ラジコンは、小学校の低学年のときに買ってもらった白い「ポンティアク・ファイアーバード・トランザム」。もちろん完成品の玩具ラジコンでした。針金みたいなアンテナがついていて、操作も「右」「左」のボタンを押すタイプ。メーカーは増田屋だったのかなぁ? 僕ら世代の男の子の多くは、本格的ラジコンブーム以前に、この種の玩具ラジコンを一度は手にしていたと思います。 で、スーパーカーブームが勃発して、いよいよ「プラコン」ブームが到来したんですが、エポックメイキングとなった「ポルシェ934」は、当時小3だった僕にはまったく無縁の存在でした。実際、欲しいとも思わなかった。玩具ラジコンの4倍以上、車体&プロポで4万円という価格、しかも自分でつくらなきゃならないとなると、買えるわけがないし、ちゃんと製作できる自信もないしというわけで、完全に「オトナのオモチャ」という認識だったんです。 1年後に、ちょっと状況が変わってきました。ブームが過熱して、僕らの周辺にも「プラコン買っちゃった」という子がポツポツ現れたんですね。 が、ついに僕も「プラコン」にドップリとハマるときがやってきちゃうんですね。きっかけになったのは、あるマンガ。これ、同世代ならすぐにピンとくると思うんですが、そう、すがやみつるの『ラジコン探偵団』です。 すがやみつるってのは、いわゆるコミカライズ作品を量産する一方で、マイコン、ゲーム、スーパーカーなどなど、子ども文化における流行りものをテーマに、臨機応変、ある意味では節操なく(笑)、「ホビーマンガ」とでもいうようなジャンルの作品を次々に発表した作家です。後に『コロコロコミック』が得意とするようになる一種のメディアミックスというか、商品タイアップ的な手法の始祖みたいな人。当時は僕らも子どもながらに「なんか商売っぽいなぁ」という印象を受けたりしたんですが、今思うと、濃厚にB級感が漂う作品には強引に最後まで読ませるパワーがあったし、その場で「消費」されることに徹した強力な「作家性のなさ」(笑)は、ある意味スゴいなと思う。再読してみると、時代の空気は、むしろこういう人の作品に宿るんだなぁ、とつくづく痛感しちゃいます。 で、まんまと「すがやマジック」にハマりまして、買っちゃいました、タミヤの「コンバットバギー」。 それから約2年間、小学校を卒業するまで、RC漬けの日々が続きました。 笑っちゃうのは、ラジコン仲間とレースをしたりっていう記憶がほとんどないこと。バギーじゃレースにならないってのもあるんですが、それよりなにより、当時のラジコンって(今はどうだか知らないけど)、ニッカド電池の充電に4時間(だったような気がする)かかって、フル充電しても15分くらいしか走らないんです。あっという間に電池切れになっちゃう。しかも、もっのすごくマシントラブルが多い。遊ぶ時間が1割、充電と修理に9割って感じでした。なので、友人とラジコンを走らせている記憶より、頭を突き合わせて黙々とマシンのケアをしている記憶のほうがずっと強く印象に残ってる。遊びというより、内職みたいな感じ。 なのに、それでもなぜかめちゃめちゃ楽しかった。 6年生になって、ラジコン仲間のI藤君が転校しちゃったとき、僕らはすごく落ち込んじゃったんだけど、その年の夏休み、E川君と二人で彼の転校先の田舎町に会いに行ったことを覚えてる。そのときも、でっかいラジコンボックスを二人で肩から下げてたんです。旧友とのひさしぶりの再会にわざわざラジコンを持ってかなくても、と今なら思いますが、小学生としては「I藤君と会う=ラジコンで遊ばなきゃ」だったんだろうなぁ。
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