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街から喫茶店が消えていく。 カフェ文化はすこぶるヨーロッパ的なもので、アメリカのライフスタイルとは折り合いが悪い……ような気がします。 スタッフの労力(つまり人件費)が最低限に抑えられるように工夫された(企業側にとって)合理的なサービスシステムと、客の回転率を上げるための「なんとなく長居不可能」な店内構造。そして、あくまで安価なメニュー。 次から次へと客が流れていくようにコンセプトされたアメリカ資本主義的「カフェ」に対し、日本のいわゆる昭和型「喫茶店」は「停滞」、もしくは「淀み」の場だと思います。 長時間座っていられないカフェスツールなどではなく、店内の椅子はどれもフカフカ、というよりブヨブヨの薄汚れたソファー。腰を下ろしたとたん、なぜだかグッタリしてしまいます。 ここには効率やら回転率やらという概念はありません。時間も人も、すべてが停滞し、淀んでいる。が、本来、カフェとはこういう場所なのではないでしょうか? 僕の子ども時代、ドヨ〜ンとした個人経営の喫茶店のなかにあって、「喫茶室ルノアール」や「談話室滝沢」などは、企業が経営する「ビジネスライク」な喫茶店というイメージでした。ある意味、フランチャイズの喫茶店という当時の「新勢力」だったのだと思います。 ずっと前から不思議だったのが、「名画シリーズ1」と銘打たれたあの「喫茶室ルノアール」のオフィシャルなマッチ。オーギュスト・ルノアールの作品をシリーズ化したもの……らしいんですが、覚えている限り、一種類しか目にしたことがないんです(右の写真は一つのマッチ箱の裏と表を撮影したもの)。 現在、「ルノアール」でウェイトレさんに「火を貸してください」とお願いすると、店名入りの100円ライターをわたされてしまいます。ドヨ〜ン……。 |
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