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スーパーカー消しゴム
「改造、改造、また改造」
*関連トピック:スーパーカーブーム




 僕ら世代にはもはや説明不能のアイテム。
 1970年代なかば、当時のスーパーカーブームを受けてガチャガチャにて販売され、一大人気商品となった「スーパーカー消しゴム」です。
 いろんな零細メーカーがつくっていたようですが、元祖は我らがコスモス(70年代のガチャガチャ市場を象徴するメーカー)がハズレ商品として製造したもの…とされているらしい。
 ブーム後半はバンダイが参入して玩具店売りのセットものをつくったり、あと、あれはどこのメーカーだったのかなぁ、ミニカーよりデカいサイズでタイヤが稼働するようなタイプも流行りました。もはや消しゴムじゃなくて、ゴム製ミニカーでしたけど。

 「スーパーカー消しゴム」には一定の遊び方があって、必須になるのは三菱鉛筆のスタイリッシュなボールペン 「BOXY」。このボールペンは頭のノブを押し込むと芯が出て、サイドのボタンを押すと芯が引っ込む。つまり、頭のノブがパチンと飛び出す。このアクショ ンが「スーパーカー消しゴム」のブースターにちょうどいい。パチン、パチンと消しゴムを飛ばして、教室の机や床などでレースを展開して遊ぶわけです。 「スーパーカー消しゴム」+「BOXY」の組み合わせは全国的に普及し、すでにカッコよさで子どもたちにウケていた「BOXY」の売上は70年代後半にさ らにアップしたそうです。

 でも今考えると、レース自体はあんまりおもしろくなかった(笑)。みんなが熱くなったのは、レースそのものより、レースのためのチューンナップ。つまり、改造です。

 僕の周囲では、もっとも初期に流行した改造は車体の底にホッチキスを打つ、というものでした。摩擦係数を減らし て、飛距離を格段にアップさせるわけ。が、これはすぐに「ずるい」ということになって禁止されました。「異物を装着する」という部分が「卑劣」とされたよ うです。

 で、次に定番化したのは、車体の底やタイヤ部分にセメダインを塗る、というもの。タミヤから出ていたハケで塗る タイプの液体セメダインが多用されました。これをやると消しゴムの接地面がカチカチになり、やはり摩擦係数が下がるんです。これは基本のチューンナップと して定着しました。

 次に登場したのは、チューンナップというより当初はデコレーションの意味合いが強かったんですが、プラカラーで色を塗っちゃう、というもの。プラモデル用塗料でカラーリングしちゃう。こうすると、車体全体が硬化するんですよね。
 このカラーリングをヒントに、究極のチューンナップが登場しました。名づけて「シンナー漬け」。危険な名称の通り、シンナー(プラ塗料のうすめ液)のな かに、一晩漬け込んじゃう、というもの。こうすると、あら不思議、やわらかい消しゴムはひとまわり小さくなり、ほとんどプラスチックのようにカッチカチの 素材に変身しちゃう。これこそが最強&最凶の改造でした。

 しかし、よくこういうことを考えつくよなぁ、子どもって。しかも、こういう情報は瞬時にクチコミで全国に広がる。ガキの不可視ネットワークって、ほんとうにスゴイ。

(2010.3.18)


カー消しは絶滅しましたが「BOXY」は健在!【メール便可】BOXY ボールペン

手元にはこんなのしか残ってませんデシタ。ニューセリカとかBMWだとか車体裏に刻印されてますが、造形がアレなので、なにがなんだかわかりません



ご存知、三菱鉛筆のロングセラー「BOXY」。側面のオレンジ色のボタンを押すと、頭のノブがパチンと飛び出します



この状態で、消しゴムをパチンとはじき飛ばして遊びます。あえてクラッシュさせて敵車をコース外に追い出す、なんてのもアリ




カー消しDVDに2000円出す?




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