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鎌倉書店『スポーツノート』シリーズ
憧れのウエストコースト





 70年代後半から80年代にかけて、今はなき鎌倉書店から刊行されていた ムックシリーズ「スポーツノート」です。これ、どういうわけか2、3歳ほど年齢が違うだけで「え? 知らない」という人が多いんですが、どうも80年前後 に中学生だった世代にピンポイントでウケていたんですかねぇ? 僕ら世代はもうど真ん中で、完全に定番でした。

 僕の感覚では、小学館入門百科とかを卒業したら次はコレ……って感じのシリーズでしたね。
 タイトルとおり、基本的にはスポーツの入門書シリーズなんですが、まぁ、「BE-PAL」的なアウトドアホビー全般をフォローしてました。釣りとか、カヌーとか、あとフリスビーなんてのも。

  で、とにかく装丁が(当時としては)カッコよかった。「洋雑誌」みたいなツクリで、レイアウトも解説イラストも掲載されているグッズも広告も、とにかく (当時としては)ファッショナブル。正直、「なんとなくカッコいい」だけの本で、実際の内容については「あんまり役に立たなかった」っていう印象が強い (笑)。

 アメリカンなモノに関するウンチクが多くて、もろに「ポパイ」とか、当時の「西海岸(勘違い)憧れ雑誌」の流れにあったシリー ズだと思います。バブル以前のイケイケ感というか、カリフォルニア至上主義というか、その直後に「サーフィンブーム」に全部持って行かれちゃう価値観とい うか……

 でも、中学生くらいだと、この感じはたまらないんですよね。「お兄さんたちの仲間入り」感がハンパなくて(笑)。

 当時、『釣りキチ三平』の影響で男児の間では空前の釣りブームで、最初はみんな小学館入門百科の「ルアー釣り入門」とかを手にするわけですが、中2くらいになるとみんな「スポーツノート」になってました。
  「カナダの伝統を受け継いだ正統フライフィッシングで大自然を感じる」とか、「イギリスの湖沼地方で出会った老フィッシャーは言った。『一生モノのロッド と出会うのは理想の女房に出会うより難しいよ』」みたいな見出しの記事を読みつつ、中学生のガキが「ふむふむ」とか言ってるんだから笑っちゃいます。日常 の釣り場は多摩川なのに!

 あの頃、なんだかみんなが「架空の外国」を見てたような気がします。ひと世代前の「アメリカ礼賛」とはまったく違うんですが、70年代後半の「西海岸憧れ」は、あの時代ならではのバカバカしさとキラキラ感にあふれていましたね。
 映画で言えば『アメリカン・グラフィティ』『ビッグ・ウェンズデイ』『カリフォルニアドリーミング』『リトル・ダーリング』などなど、アメリカ産青春映画がキラッキラだった頃。

 ここではないどこか……。「外」に憧れるというあの気分は、その数年後のバブルによって非常につまらない形で回収されてしまうわけですが……いや、あの「ウエストコースト憧れ」のモノとファッションへの執着ぶりに、すでにバブル的価値観の萌芽があったのかな?

(2016.5.18)



NCAAペットマーク。覚えてどうする?


スタジャンカタログ!(笑)


こういうイラスト解説は斬新だった!


テニス系タオルカタログ。このあたりのセンス、懐かしい


これまた懐かしいな。っていうか、このHEADのバッグは持ってた(笑)








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